2021-01-01から1年間の記事一覧
小説「ロシアン ルーベッド」の御案内 不定期になってしまうと思いますが、小説第2作目として逐次 「ロシアン ルーベッド」 を発表していきます。 まだまだ粗っぽいので、ときどき「後出し推敲」させていただきますね。 ブログURLは以下のとおりです。 http…
【中略】 5章 輪廻転生 1節 惜別 愛の嵐のあと、レイも私も寝てしまったらしい。起きたら身体が冷え切っていた。 「う、寒み!」 『起きた? なんかこういうの、いいね』 すぐ近くにレイの顔があった。 「…だよね。レイ、すごいね、よく調べたなぁ… 逃げら…
7節 首領 指導蛇キンの全盛期に、世は明治維新を迎えている。キンは知性的かつ理性的で、その割に性格は攻撃的だった。キンが率いる蛇一族は集団での狩りにも熟達し、全体として豊かな生活ができるようになってきた。 ここでキンが考えたのが、人間界への進…
6節 改変 さて、ここでいう染色体改変とは… 後日レイの分身とレイの仮想的カラダを借りて話したときの情報を交えて確認しておこう。 ヒトの染色体数は46本、一ゲノムはその半数の23本でそのDNAの総延長は約1mである。ゲノム(genome)とは、gene(…
4節 未練 私に「これ以上ない」ほどの 仕打ちを遺したアキ、アカネ、ミキの三人。彼女たちの、その気持ちは今もわからない。おそらくこの苦しみは、殺されるよりも苦しいに違いない。でもまだ、私の心の底には愛情がくすぶり、煙を上げている。三人が蛇ウイ…
仮説 3.逆翻訳・逆転写ウイルスが未発見だったのは、実在しないからだ。 「病気」は検査されるが、幽霊を見たからといって、ウイルス感染を疑うことはない。頭の中身を疑われることはあるだろうが… 一見正常に見える人でも、実はこうした恐怖ウイルスの感…
3節 仮説 そのあとしばらく布団から出ることができなかった。 免職必至という状況だけでも十分衝撃的なのに、私の中にすでにパラサイト(寄生者)が入り込んで勝手に思考や身体を操っていること、幽霊の正体の一端を掴んでしまったかもしれないこと。 おーま…
2節 酵素 「ねぇレイ、もう少し聞いてもいいかな?」 『何? ああ、当分テンテからは離れないよ』 「くそっ… じゃあ幽霊さんには実体はないの? 幻覚幻聴全部が自分の脳の産物なの」 『さあ、テンテは自分がどういう生物だかわかってるの?』 「ははは、よ…
4章 大進化説 1節 感染 レイから聞き取ったことを並べてみよう。 ちょっと早目に正体を明かしてしまったけど…と自嘲して、レイというその霊的存在が語り始めた。まず彼女は澤風トンネルに棲まっていた存在であり、私の数代前の直系祖父の霊波と酷似してい…
8節 半裸 今日も肩が重い。いや今朝はひときわ重い。もう少し寝てしまおうか、どうせ今日の午後は事情聴取なのだ。 それでもグダグダし続けて良いものだろうか。起きなくちゃ。布団の中で大きく伸びをした… 「ああ~ あっ」 途端に激痛、左足がツってしまっ…
6節 家族 こりゃダメだ。教職を続けられる見込みは100%ないだろう。 実のところ、給料と退職金に未練はあったけど、【この学校で】同じ仕事を続ける気はほとんどなかったのである。ここに至ってやむなくヨメ殿や息子、そして母にも自分の嫌疑を明かし、将…